<705>「嘘のなかに夜がひろがる」

 明確に、避ける人、ならまだ、名前で呼んで、ふたつの目が、ジリ、ジリと音を立て、中央に寄る、徒に見る。はだけて、今までと、かなたへのふくらみ、過去いくつものうごめきその通りに、その通りに流れてくると請け合った、ところと、どころ、の人、たち、当然言葉ごと転がる。

 膨らみかけ、モチーフ、いつもの通り。

「誰がモチーフだ」

訳あって、なにげに、帰らせていただく、普段のうつろい普段の話、舞台で寝そべるだけなの不可解であらとまたがり、いくつものはためきに、わたくしはふたり、いくつものきらびやかさに、わたくしはうねる、不気味な音さえ鳴るように、いくらでもひねる、と、嘘には夜空が、特別な低さで広がっている。

 ほんの揺れが、ただオオゴトになって笑い転げなければならない。ほんものの揺れは、嘘より速いから、多少なりとも、口を開けて、なごやかに、地面に垂らしていかなければならない、嘘はまだ、適当な姿で眠っているから。明らかであると同時に、表情で、増えてゆく、ところどころ、語らないで。