<628>「うつろなそこの眼、水」

 私には、これは一枚の・・・一枚の話が訪れている。どのように、どの、どのように、これは肩に触れ、やわらかさ落ち、落ちるとも知らず、行方、方角、などから、抜きつ、抜かれつ人々の現れ。

 あたし怖ろしいな。何故ってあたし怖ろしいな。相も変わらず、剥がれた苦しみと、待ちわびたことども、ざわめき、歓喜、斜めにゆく停止。流された訳ではないのよとても、噛み上がり、ながら、疑わしさよ、水よ、うつろなそこの眼よ。ふるえたげ、たげてまた、ふるえたげて。

 ゆっくりと移るのよ。わたしまだまだ、ひとつ投げられたり、見逃されたりしないよう。

「何に対して構えているのか?」

むろん、軽快な跳躍の前に。かろく、笑い合う前に。これと、またも、なごやかさだけが、声と・・・。