別の自分をどこかに任せてしまう訳じゃない。どこか他人事なのねと、目で言われ口で言われ、なるほどそれもそうなのか他人が、マイナスのなかから私に出てきて、
「誰だ、誰だ?」
と揺すぶっている。
大きな顔が、場所もなく辺りをウロウロし、何を投げ何を捨て、何をまたここで口ずさむのだろう。あら? 渡されたものだけここにあり、渡されていないものは別の場所で、驚きと不確かな怒りとなる。
「出してくれ・・・出してくれ・・・」
放出の映像に直面し、ビリビリした周囲の表情が数を増し、それを見て初めてうろたえたことに気づく。私から出るのじゃないか、うろたえているのはそこなんだ。
情けなさがなくなったら駄目なのだという悟りは、きっと皆にも用意されて、そんなことを分かって得意なのはとても嫌なのだと、ここで下を向かせてくれと。地面はあくまでも移動をとめないし歩かせようともしない。