<401>「触感の変化」

 存在の常と、知ってか知らずか、その大きな損傷はやって来て、あるひとりの人間を、得体の知れない強さに変えてしまう。平等に見えることを拒絶して、強さは、いまや景色の全部になろうとしている。

 見る者であるという言葉のなさ、当事者であるという全面的な、その違和。強さは、誰かによって獲得されたのではなかった。それは、最初から、風景以外にはなり得ないものとしての存在を意味する。

 固さ、や、速さ、激しくぶつかる瞬間、や、重さ、それらのものが初めから、強さとの関係を持たないで、しかし、どうしても今後は、ここに現れざるを得ないのだとしたら、私は、下を向くのも忘れて、眺めているもの全ての感触を失うのだろう。