これが一番本当らしく見えるから、ひとつの嘘として君に寄せよう。ただ、何もない部屋を、想像だけが走るのは、寂しさでなし、喜びでなし。気の遠くなる長さを、一番に、静かに蓄えていた。
君が、何も尋ねないのを知って、景色の前進と、聴衆の仰天には尚更用がないのだが、それで、満足とは一体何だろうか。達成とは一体何だろうか。左から右へ、一直線上を走るのではあり得ない。訪問者の在り方を、そうして考えたところで掴めない。気紛れな開錠を、ひそかに示し続けられたところで、私だけでは分からなかっただろう。
ともかく、その嘘は、どうして大袈裟ではあり得なかった。それが、本当らしさを身に着けていたからといって、誰を欺くでも、裏切るでもなかった。ただ、確かにそれは、ひとつの空間を、休むためではない部屋を、強かに用意したのだ。