<234>「身体経験の重なり」

 気持ちの強さ(これ自体が随分曖昧なものであるというような気がするけれど)がパフォーマンスの向上に繋がるということは確かにあるだろう。ただ、物事の結果を何でも気持ちに関係させたがる(便利で、そう片付けてしまえば分かりやすいから)こともまた多いような気がする。何かしらに臨んでいるときの実感として、気持ちで負けているときも出来るものは出来るし得意なものは得意だし、反対に、気持ちで勝っていても、苦手なものは基本的に上手くいかないことが多い。つまり、気の持ちようで出来るところが出来なくなったり、またその逆があったりというのは、割合的に見ればすごく少ないことなのではないか。

 気持ちがどうこうなどまるで関係のない部分が実際ほとんどだと思う。尤も、その僅かの部分が大事になってくるのだと言われれば確かにその通りなのだが、何でもかでも気持ちの問題で解決をつけようとすると大きく誤ることになるとは思う。