<226>「骨がありません」

 ここで例えば、ゆったりとした服を纏うと、骨がなくなる、というより、関節などが全てふわっとなったような感覚になり、いかようにも柔らかく動ける、腕なら腕全体が、緩やかな波を描けるようなものとして現れるのに対し(半袖だと厳しい)、身体のラインにピタリと沿ったような服、いわゆるパツパツの服を着ると、これが長袖であって腕の長さなどには違和感を覚えずにいられても、身体のゴツゴツとしている感じというのは、裸のときに感じているそれとさほど変わらないということになる。

 さながら脂肪の役割、実際の肉がつく訳ではないのだが、ゆったりとしたものを着ると、見た目的に柔らかくなるだけでなく、自身の感覚までもそうなる。ゴツゴツしたものの上に乗っていながら、ちっともゴツゴツしていないような感覚になる。これは不可解だ。そういえば、ゴツゴツさを隠さず、そういった骨や筋肉を、健康の証として人目に曝していることなどは別段変なことでも何でもないが、昔の、身分の高い人などが来ていたような服は、随分とゆったりしていることが多いような気がする。あれは骨を感じさせない為でもあるのだろうか・・・。