<202>「圧倒されたままに動く手」

 受け容れる受け容れないに関係なく動けてしまう状態にいつもある、ということは、きっと悩みがあるというより、圧倒されて動けなくなってしまう瞬間があるだけだと考えた方がより妥当だという気がする。圧倒されている、あるいは圧倒されるだろうことが分かると動けなくなることもある。人間は身体構造だけではないのだけれども、受け容れているか否かにかかわりなく動けてしまうということを強く意識して、身体だけであるかのようなつもりになって動いてしまえばいいのだろう。実際動くのだから。

 また一方で、よく驚くようにしておく。というかいつ何時でも圧倒されていればいいとも言える。動きが多いのは良くない、今は動きたくないと思うならばだ。そこの出し入れ、圧倒される、それもいつもいつも圧倒されるから動けないのだが、圧倒されていても、圧倒されたまま平気で動ける、びっくりしていながら全く止まらない、それが自在ということのひとつの方法なのではないか。