1度もやらないそばから飽きている

 1度だって実際にはやってみたことのないものを、頭の中だけでこれでもかというほどシミュレーションした関係で、もうそれについては散々やったというような気分になり、既になんとなく飽きたような心持ちになるのはおかしなことだ。

 こういうことを起こせるのが想像力というものの特徴なのかもしれないが、それにしても、1度もやらないそばから、頭の中でシミュレーションしただけで実際に飽きるところまでいくなんて、滑稽と言うほかない。

 それに、

「いや、想像は体験とは違うんだ。実際に体験してみたら違う境地に至れるんだ」

と意気込んでも、結局は事前に想像した通りの形で飽きていくのもまた面白い。