あと何年生きるかによって、大体読めるはずの本の量ってなんとなくわかるじゃない?
そうするとさ、とても不安になるというか、焦るよね、早く読まなきゃって。
あと何年生きるかによって、大体書けるはずの文の量ってなんとなくわかるじゃない?
そうするとさ、とても不安になるというか、焦るよね、沢山書かなきゃって。
う~ん、そう?
そうじゃない?
いや、死んだら読まないってこと?
え?
死んだらもう読まないし、書かないってこと?
どういうこと?
死んだって、別に読んだらいいし、書いたらいいじゃない?
・・・
違う?
まあ、確かにそうだね。
そうか、そうか、死んだら何で読まないと思い込んでいたんだろう。
死んだらどうして、書けないと思い込んでいたんだろう。
そうだよ。生きている範囲だけで考えたらそりゃ有限だし、焦るよ。
でも別に、死んだだけなんだから、そのあとも読めばいいじゃない。
そのあとも、別に、死んだって、そのあとも書けばいいじゃない。
生きている範囲だけで考えたらそりゃ、短いもん。焦るよ。
死んだら読まないの? 読むでしょ?
死んだら書かないの? 書くでしょ?
生きている範囲だけで考えないこと。約束のひとつ。
約束のひとつ。
だから今日で全部やらなくても大丈夫。
死んでもまた読むんだから。
死んでもまた書くんだから。
そうか、死んでも読むんだ、この人間は。
そうか、死んでも書くんだ、この人間は。
人間て、長いな。