<773>「根が伸びる」

 あなたの言っていることが分かれば分かるほど、隠すものが増えてゆく。これは無用か、あれも無用だ。むろん、考えているほどのことはない。別れながらもまたひとつところに留まる。何かに対して急いでいる。

 ここに長い時間倒れている。土に埋もれている。あるいは、腕に沿ってのびて、順調な枝をつくり、吸いたいものはひきりなしに吸っていると、ところどころに出口が見えているのだ。彼か。まとめて浴びたらいい。

 大きな声で、それから、同じ音を繰り返す。どこまでが空間で、何を選んでベロベロと舐めたらいいか。巨大に違いないものが、私と同じような困惑を示している。何故って泣いているからだ。思ったより短いものがちらちら視界の中で暴れている。