<294>「第十木曜日」

 検討に値しない出来事は第十木曜日に回そう。紙の余白が僅かに埋まったことを確認し、静かに閉じた。近づきようのないものが、少しずつ距離を詰めてきているのを感じる。あれは、確認というのはどうして繰り返せば繰り返すほど不安になるのだろう。こんなだったら、一度も確認しない方が良かったのではないかと思う程だ。一度確かめたが最後、二度も三度も同じことだという流れになるに決まっているのだ。うんざりしながら同じものを幾度も眺め、第十木曜日の予定が確かに埋まっていることを確認する。

 第十木曜日の今日、天気は晴れていることを気にしつつ、緩やかに曇っていくでしょう。雨が降るには及びません。二度寝、三度寝をしたのがいけなかった。予定の欄にはただ要確認と書いてあるだけだ。その通りのことをするより仕方あるまい。執拗に確認を繰り返し、もはや確かめるという作業が意味を失うまでになった。ちゃんと確認しましたかという問いに、はいと答えたのは、決して肯定ではなかった。ただ音が漏れただけだ。