<245>「想像していた現実と現実」

 そうなれば良いと思っていることと、実際にそうなることとの間には随分と大きな溝がある。心の底では、本当はそんなこと願ってやしなかった、というのとはまた違う。本当にそうなれば良いと思っていたことが実現すると、何とも変な感じがするのだ。そうして驚き、自然他人事のような態度になると、何だその態度は、となる。そりゃ当然だ。他人事ではないのだから。しかし当人は他人事のように驚いて、あんまり指摘されると、何で「自分が」こんなに指摘されているのかが分からなくなって苛々としてくる。おい、オカシイぞとまた言われてしまう・・・。そう、オカシイだろう。しかし、そこには何か、自然な、無理のないものがあるように感じられたのだが、これは何だ? それは、他人事だという面をしているのが正しいとか、指摘されて怒っているのが正しいとかいう意味ではない。そうではなくて、こういうように驚くよりほかにしょうがなかったかのように思われてならないのだ。当然、責められて然るべきだし、それは甘んじて受けいれなければならない。ただ、そのリアクションの無理のなさというのが何か、ひどく不可思議で・・・。