形式を見つけて、それに沿って歩き出す。しばらくこのまま歩いていればいいんだ、どこまででも歩いて行けそうな気がする。赤色の標示灯が、道の両端に置かれ、一定の間隔をあけながら、遥か先の方まで連なっている。
テンポよく歩き続けていると、だんだんに彼の顔が曇っていくのが分かった。もう歩きたくないのだ、ということが、理由と共に伝わってきた。型を持ったことを後悔しているのか、しかしここまで歩いてこれたことは良かったのじゃないか、心労の度合いは、型を定める前よりも大きくなっている気がする。どうせとりあえずのものだ、歩き出す助けになる程度で丁度良い。でも、その助けは要らなかったのじゃないか。それを設置することで余計な疲れを増やしたのではないだろうか。よし、一旦座ろう。
こんなところで寝てはいけないと思ったが、誰も何も通らないところを見ると、眠ってしまっても大丈夫な気がした。しかし、虚ろなまま歩き出す。既に標示灯は無くなっていた。真暗だ。こちらに向かって歩いているのが真っすぐなのかどうか、そんなことは分からない。ただ、真っすぐに歩く必要がどこにもないことを思い出し、彼の表情は徐々に愉快さを取り戻していった。