整理

 灰色に塗装した、というよりは、色を奪われたようだった。徹底的に整理し、不都合は排除したいという貧弱を象徴するように(しかしまた、そういうところにこそ不都合は乱立するのだが)。雲行きの怪しい空が、ここでは清涼ですらあった。

 どうして鮮やかな色を使わないんだろう・・・という疑問が浮かんで、すぐにそれが愚問であることに思い至る。このような景観を作り出そうとする意識に、色の見えて来ようはずはなかったろう。枯れたような灰色で覆う以外に、選択肢は無かったはずだ。

 仮に、その意識に抗って、部分的に色をつけてみたとして、全体の景色の中に入れば大した効果をなさない、いや、むしろ逆効果を生んだであろう。事実、重たい音を響かすバスの緑は毒々しかった。