1対1で会う

 人と人との関係は、基本的に1対1のときが1番面白くなると思う。集団というのは、居て楽しいこともあるが、流れる空気は大体いつもと同じだし、個人のどうこうという部分が抜けた、あるいは薄まった状態にあるから、あまり興味深くはない。

 対して、1対1で会うという行為は、同じ集団の中に一緒にいた所為で、

「あの人は無味乾燥な人なんだろうなあ・・・」

と錯覚していたりする部分を、平気で裏切ってくれたりするから面白い。1対1で会ったときに無味乾燥だと感じる人はほぼ1人もいないんじゃないかとすら思う。

 ただ、それだけ剥き出しな状態に引き込まれる訳だから、集団で一緒にいるときには、ぼんやりと、

「あの人とも別に上手くやれるだろうなあ・・・」

と思っていた相手と自分とが、1対1で会ってみると全然噛み合わないということが分かってしまったりすることもある。まあ、そう転んだら転んだでまたそのギクシャクも面白いのだが。

 また、長く付き合っている相手で、もう十分に知っていると思っている人でも、1対1で会う機会がその後も続くと、その都度また全然知らない側面が突然現れてきたりするのだから不思議だ。