植え込み

 自転車で、そこの角を左へと曲がる。開けてきたのは、細い、何の変哲もない一本道。なだらかな、さして脚力も必要としないであろうその道が、めんどくささを象徴する道のように思えた。

 反射的に、自分でもそれと気づかぬうちに避けたのか、こんもりと、しかし綺麗に四角に整頓されて茂る植え込みへと、いつの間にか前輪がめり込んでいた。

 ダイブするように放り出された私を、ザカザカと卑屈な笑いを立てながら、植え込みは受け止める。驚いてしばし停止したのち、私の方はというと、

「カッカッ」

と、快活な笑い声を上げていた。

 上体を起こし、開けた視界を利用して、ついさっき避けたばっかりの道を凝視する。道は、私のめんどくささと一緒くたにされたことを拗ねているようだった。