不安の起こるところ

 根拠のない不安感、何もかもが閉じていくような苦しさは、大体が胸のやや上部辺りから、首の辺りにかけての領域で発生している。

 頭は、後々それに気づけるというだけで、どうも頭の中で不安が発生している訳ではなさそうだ。じゃあ何故頭に不安が渦巻くかと言えば、それは、胸から首にかけての辺りで発生した暗雲が頭を覆うが故なのであって、人知れず不安が頭から生まれてくるなどというのは、どうやら勝手なイメージにすぎないような気がしてきている(少なくとも私の身体の中ではそうだ)。

 不安はいつでも胸や首の辺りから発生しているから、例えば、それに伴い嘔吐感が先に身体を襲い、頭がその後に、

「何事だ」

と動揺する、というような順序で物事は進んでいっている。どうもここのところを逆の順序だと思いこんでしまいがちだ。もしかしたら頭は、不安に覆われることは出来ても、不安を直接感じることはそもそも出来ないのかもしれない。