「文句を言う前に、そこを改善せよ」という理屈の行き止まり

 「文句があるんだったら、その状況を改善する、あるいは変えてしまえば良い」

という合理的な思考は非常に有効であることが多い。何か、避けようのない、とてつもなく大きな問題に見えていたことが、足の置き場を変えただけで、果たして何てこともない問題でした、ということに気づくことは多々ある。

 しかし、何事も理屈を詰め過ぎると行き止まりがあるもので、

「文句を言う」

のは不毛だからと、状況を変えて対処するという合理性だけに囚われた先に見えてくるのは、

「孤立」

あるいは、

「自殺するしかない」

という状態である。

 ときどきは文句を言うことで、合理に収まりきらない部分を、不毛だとせずにぶすぶす外へ排出していかないと、

「文句を言わないために完全に孤立する、あるいは自害する」

という合理に辿り着く危険がある。