余裕があったから、嫌いだっただけなのかもしれない

 自分は虫が嫌いなのだと、ずっと信じてきたが、それは自分に、

「虫から逃げる余裕、虫には関わらない余裕」

があったからなのかもしれないと思うようになった。

 というのも、虫と関わらざるを得ない場面、避ける余裕がない場面に置かれると、途端に、虫と接触することがなんともないようになり、

「なんだ、今までは余裕があったから、あえて嫌っていただけで、本当はそんなに嫌いじゃないのかもしれないな」

ということに気づいたからなのである。

 特に今の暑い季節など、外を歩くとき、いちいち虫を避けるよりも、暑過ぎるから早く家に辿り着きたいという欲求が勝って、平気で虫が沢山いる道をずんずん歩いていったりする自分に出会い、驚くような事が幾度もある。