いくら人が減っていこうが、婚姻は強制するべきではない

 人口が減少することにより、高齢者を支える上で諸々の困難が出てきたり、国家の規模が縮小してしまったり等々、いくつかの問題が出てくることは私も多少なりとは分かったつもりでいます。

 しかし、今後どんどん人口が減り続いていく一方であったとしても、だからといって、人口増加を国民の使命とする・婚姻を強制あるいは半強制する、といったような方策を取って、個人の自由を侵害することほど愚かなことは無いと思っています。以前にも書きましたが、「自由」には、当然「しない自由」も含まれていて、人間が自分で決断して、そうと決めたのなら、「子孫を増やしていく自由」はもちろん、「子孫を増やさない自由」も当たり前に認められるはずなのです。

 それなのにもかかわらず、あたかも「子孫が増えていく」方向にだけ自由が認められているような雰囲気が形成され、「増えていかない」方向に自由が向かうことはけしからん、となるのは、どうも価値観の押しつけが著しいなということを感じざるを得ません。

 「何を言っているんだ。人がどんどん減っていったら、それは滅亡にむかって自ずから一歩一歩進んでいるようなものじゃないか。けしからんだろ。」

と思われるかもしれません。ですが私は、将来人間が、

「このまま減っていって滅亡するのはイヤだな・・・」

と思ったならば、別にわざわざ強制しなくともまた勝手に人は増えていくと思っていますし、反対に、

「まあこのまま自然に減っていって滅亡するのも良いか」

と思ったならば、いくら国の方で強制を行っても、緩やかに減っていくことを防げないだろうと思っています。要するに人口の増加を強制したところで、たいして国民感情は揺るがせられないということです。けしからんと言ったって仕方ないんです。

 こういうことを言うと、

「どうとでもなれよ」

という投げやりなことを思っているんじゃないかと疑われるかもしれません。

 しかし、必ずしもそういう訳ではなく、

「人間がどちらの選択をしようが、それはそれで一つの立派な答えだ」

というように思っているんです。子孫を増やすことも良し、子孫を増やさないのもまた良し、です。それは人間一人一人が考えて出した答えですから、尊重しなければなりません。