SOMPO美術館にて。
私は貼り絵をする。
貼り絵といえば山下清さんでしょう。
という具合で、見に行って参りました。
最初期は、本当に他愛のない、昆虫の作品などが展示されている。
それが先へ、先へ行くほどに、貼りが細かく、全体の色彩が、鮮やかになっていく。
近くで見てみると、やはり貼りの主な材料は長方形のような切片で。
清さんがどう切り出していたか、手でちぎっていたのかな、案外この材料は作りやすいというか切り出しやすいので、ぱぱっと沢山用意出来たろうと思う。
その長方形の切片を、斜めに貼って細かく組み合わせて風景の模様をつけていくやり方が、作品作りの基本にあるような気がしました。
ただ、割と貼りが細かくなっていく初期の段階で、既に、多分切片をこよりのように縒って、細ーい柱として使っている箇所がいくつもあった。
あ、こうするのか。
というのも、細い場所をどうするかっていうのは貼りにおいて大分苦労するところだからなのだ。
あの細さを例えば、はさみなんどで一発で作ろうとすると、とても厳しい。
そうか、そうか、一度大きく切っといたものをくるくるっと縒るんだね、なんていうヒントがあった。
それからこれはもう、技術というか、根気や粘りがものすごいと思うのだが、わりかし大きな貼り絵の作品で、ドットのように小さい丸粒の切片を大量に使っているようなものがあって、これは驚く。
制作風景の映像なんどがあればよくわかったのだと思うけれど、さすがにそこまでのものはなかったので、想像するしかないが、あの材料はどうやって用意したろうか。
細かーく細かーく切ったのだろうか。
だって小さい材料ですよ。手の指の先の面積より全然小さいんですから、これは根気と慎重さと、諸々要ります。
歴史を辿るようにこの回顧展を見るに、段々大雑把に貼っていたのでは物足らなくなったのかもしれませんね。
ムーランルージュの絵の横に、清さんのコメントがあって。
画家っていうのはみんな来たらここを描くのだ、だからぼくも真似をしたと、簡単に白状してしまう(多分本人は白状とも思っていない)ところなんかが良いです。
日本全国の山がみんな富士山みたいな形だったら富士山の有難味が分からないから、富士山だけあの形でよかったよね、なんて話も良いです。
技術を参考にしつつ貼り絵をまたいつも通りやっていきます。