私は小さな言葉だ。当然そこで聞こえている。私は、小さな言葉になって、ひらいた窓からぎこちなくこぼれている。徒につままれて、いちどきに表情、ただそこは曇り。ひとつかむとも知れぬ、なごりのない揺らぎ。
いくらでも滑り慣れている言葉へ両方の手を乗せ、まだあたたかさ、かわりといっては何だか分からなさ。意図から意図へ、遠慮のない、連絡はある。誰だか、分かったままで出来るだけの息を呑む。
聞こえる前に、簡単に割れる。そこで、何が話されたのか分からなかった人々も、一斉に割れた方を向く。なかから、なんともあたたかさだけが流れ、ただの連絡ではなかったことだけを知る。よって、聞き方といえども存在しない。それが良かった。