<42>「ただと目的」

 どうせ死ぬのだから、という考えは、一見意味を認めていないような考え方にも見えるが、こういう考えほど強く目的というものを意識しているものもないのではないか。どうせ死ぬ、だからこれをやる、いずれ死ぬ、だからこれをやらないと言うように。目的のないところでは、いずれとかどうせとかは存在しないのではないか。全く逆の方向を向いていながら、根っこは同じ場所にあるというような気がする。