相手の想像力が徒に広がる

 のべつ何かについて怒っている人は、その、

「口に出した怒り」

以外には、特に怒りを抱いていないのだろうという想像をされがちになる。つまり、怒りたいことは、口に出していることで全てであろうという想像をなされがちになる。

 対して、特に普段から怒るということがない人は、

「あの人は表に怒りが出てこないけれど、一体全体腹の中ではどんな怒りを抱いているのだろう」

という想像をされがちになる。

 前者と後者の、

「心の内に留まる怒り」

について、後者の方が、日頃怒りが表に出ていない分、その心の内の怒りは相当なものであろうというような想像を他者に広げられる確率が高くなる。前者については、実際の怒りを目の当たりにしているので、あまり心の内の怒りについての想像が、徒に広げられていくような事になる可能性は低い。

 

 ポーズとして怒ってみせるという行為には、相手の想像が徒に膨らんでいくのを防ぐといった意図も含まれているのだ。