「そんなこと言うけどさ、この先ずっとひとりだったら寂しいでしょ?」
羨ましかった。 誰かと同じ屋根の下に居れば、物理的な距離が近ければ、
「ひとりじゃない」
と感じられる人が羨ましかった。
どんなに物理的な距離が近かろうが、同じ屋根の下に収まっていようが、私は、
「自分はひとりなんだ」
という感覚を拭い去ることが出来ない。だから、共に最期まで添い遂げる伴侶さえ得ることが出来れば、寂しくは無いでしょうと考えられる、感じられる人々が、私は羨ましかった。
最愛の人が出来ようが出来まいが、
「私はひとりなんだ」
という感覚は揺らがないと思う。