どんどん先手を

 自分の頭の中だけでぼんやりと考え、進んでどんどんやっていこうかなと思い始めていた事柄に関して、他人に、

「これ、やってくれない?」

と先手を打たれたら、あなたは何を想うだろうか。

 「おっ! 何というタイミング! このタイミングで依頼してくれてありがとう!」

とは、私は思わない。やろうとしていたことに、依頼という形で先手を打たれてしまうと、極端に萎えてしまう。萎えるだけならまだしも、仮にもさっきの瞬間までは進んでやろうと思っていたものに対して、

「何でこんなことやんなきゃいけないんだよ!」

と、嫌悪すら抱くようになる。

 結局は同じことをやるだけなのに、どうして先手を打たれるだけのことでこうも萎えてしまうのであろうか。ともかくも、元気を奪われないためにはどんどんと先手を打っていくしかないということだけは分かった。

 基本的に、親切心から、

「ここはこうやった方が良いよ」

とアドバイスをくれる親に対して、

「やだ! 全部ボクがやるの!」

と露骨に拒否を示していた小さい頃のままから、考え方、萎え方というのはさして変わっていないのであろう。