<54>「少ない色で」

 様々のものが私を通り抜けた、と想定する。そういうとき、何かがついて、膨れ上がり、何らかの力になったと考えることが出来るか。何らかの力になっていることはあり得るとして、身についたということは、どうもなさそうだ。あるとしても、微々たるものだ。まざまざと見せつけられた色に反応し、色を引っ込め、似通った色を出してみて、失敗し、取り込み、同系色になったり、全く反対の色になったり、つまりそういった応酬はあったかもしれない。他の人がくっついたというのは錯覚で、この狭い狭い私という範囲から、諸々は発せられるより仕方がない。