あることで（それは具体的なことでも、漠然とした「生き方」みたいなものでも何でも良いのだが）、お互いがお互いを意識して切磋琢磨し合う、といったようなひとつの競争が生まれることがあると思うのだが、そういうものはわりかし好きな方だと言える。
しかし、お互いが延々と高め合うのではなく、その都度、
「勝ちか負けか」
がハッキリとついてしまうものに関してはあまり好きになれなかったりする（スポーツなども、見る分には大いに楽しめるのだが、実際にやるのはあまり好きではない）。
何故と言うに、負けると嫌な気持ちになるというのはもとより、勝ってもあまり嬉しくないからということがある。全く嬉しくないと言えば語弊がある。喜びきれないといった感じだろうか。勝つと、必ずと言って良いほど負けた人たちの悲痛の表情を見ることになるが、その表情を前にして完全に喜び切ることは出来ないし、それより何より、そういった表情を見ていると、
「勝ってしまって悪かったかな・・・」
という気持ちが起こってくるから、勝敗がキッチリつくものは嫌なのだ。
負けるのが嫌なだけなら、ただ負けないように頑張れば良い。勝ったら逆に嬉しさも待っていることだろう。しかし現実は、勝っても複雑な気持ちになるだけなのだ。
だから、勝負は勝負と言えども、それは自分自身とであるとか、相手があったとしても、その優劣は簡単には決まらず、延々とその技量を競い合っていける、といったようなものにどうしても興味は集中してくる。
