欲望とはこうあるもの、という声を無限に聞いてきた。
欲望とはこうあるべき、という声も幾度も聞いてきた。
自分の欲望が何なのか、その輪郭すら掴めなかった頃は、そういう一般則的な、欲望の形を信じた。
私もなんとかその欲望に沿ってみようと考えた。
しかし、段々に気がつきはじめる。
これは、俺の欲望ではない。
それは、親の願いであり。
友達の期待であり。
知り合った人の思い込みであった。
俺の欲望はそこにはない。
俺の生は、そこにはない。
俺の欲望には嘘がなく、目を背けたくなるものも多い。
だが、そういう、1番暗い、底の底の欲望まで包含して、私自体が十全に表現されるのでなければ。
私は何を生きたらいいのかが分からなくなる。
私は自分の欲望の声を聞く。
この不穏な時間は、しかしとても静かだ。