<4089>「所感(429)」

 渦中に自分も居ると全然分からなかったのに。

 

 そこから覚めてみると、いかに周りの、現代を生きる仲間たちが、集中力を削り取られ、記憶や経験が散り散りに、断片化させられているかがよく見えるようになって、ちょっとした恐怖を感じている。

 

 皆、人間がまとまっておらず、記憶とか連関とかがなく、物忘れしやすくなっていて、集中して物事を憶えるような体制が崩されているように見える。

 

 この集中力の奪われ方、物覚えする能力の奪われ方は尋常じゃないと思い始めている。

 

 喋ってるとすぐにわかる。

 

 ある領域については経験も知識も私より豊富なはずの人々が。

 

 あれ、何だったけな、と呟きながら、頻繁にスマホに向かって何かを訊ねている光景を目にする。

 

 大事なことはスマホが憶えてくれているんだからいいじゃん、とついこの間まで私もそう思っていたんだが。

 

 そうすると、その人の中で何かが独自に繋がり、生成されるというルートが絶たれてしまう。

 

 その人の内部での連関可能性自体がバラバラに切り刻まれてしまっているのだ。

 

 

 でも、それを周りに言い出すのは完全に迷惑だしおせっかいも甚だしいので。

 

 まずは自分が、ひとりでまた集中力を回復する。

 

 バラバラになっていたものをぐいっと集め直す、という働きをする。

 

 その成果を発信することによって。

 

 あれ、こっちの方が全然いいじゃん、とひとりでも思ってくれるところまで到達できれば儲けものだ。

 

 外部が全部記憶してくれているし考えてくれているからいい、という発想は安易だったと今私は反省している。

 

 それでは人間が何かを繋げたり統合したりして物を考えたり語ることが出来ない。