<3903>「所感(339)」

 人生は綱渡り。

 

 それは危険なことに日々従事していようがいまいが、関係ない。

 

 ここでいきなり終わっても、何もおかしくないんだな、という日々を皆生きている。

 

 世の中的に成功を収めた人が。

 

 自分は運が良かっただけ、と言っている場面を結構見かける。

 

 昔は、そんな発言を、ただの謙遜、世の中の批判をかわすためだけのもの、としか見ていなかったんだけど。

 

 最近になって、段々、あれは確かな実感なんだろうな、と思うようになってきている。

 

 人間というこの、精神も肉体も脆い、弱い存在は。

 

 いつでも簡単に終わる可能性を担いながら日々生きている。

 

 歳を取ると、そういった場面をくぐり抜けてきた回数が自然と多くなる。

 

 そうすると、どうしても自分が生きてこれたことの偶然性と。

 

 途方もない運の良さに、思いを馳せざるをえなくなる。

 

 ああ、本当に、運が良いという、ただその一点だけで、こんなに遠くまで来てしまった。

 

 という感慨が強くなるのだ。

 

 30代の私ですらそうだから、40代、50代、60代と、歳を重ねていればいるほど、もっとそれを強く感じていることだろう。

 

 人生は綱渡り。

 

 人間は、脆いゆえに、ただ生きているというその事実だけで、不安なんだ。

 

 不安常住と、森田正馬さんは言う。

 

 人間の当たり前のなかで生きていくこと。

 

 生きていたら、ただそれだけで不安なんだ、ということを、ごまかさずに生きること。