人生って、始まりから終わりに向かってる線と。
終わりから始まりに向かってる線の。
二本の逆向きの線が同時に走っているように感じることがある。
始まりから終わりに向かう方は、分かりやすい。
何にも知らない、経験していない未熟な存在が。
次々に色々な経験をし、新しいことを知り、学び、身につけ。
それらもやがて褪せ、新しい経験から知れることも少なくなり、老いて、死ぬ。
一方で、終わりから始まりに向かっているという感覚は、どうにも説明しづらい。
誰もが、という訳にはいかないだろうが、我々は、幼き日、祖父や祖母と出会っている。
もう、終わりの日が近づいている存在の、近くにいつもいる。
その存在から、私は、有形無形の、メッセージを無数に受け取っている。
何かが分かる訳ではないが、そこへ私は同化する。
ゴールから、私はスタートしていると感じるのは、そのためかもしれない。
もう、最後を知った状態から、ゴールから、いわば逆戻りする。
人生というやつには、一体何があったのかを、スタートへ戻るべく辿り直すような。
答え合わせを、今からしにいくような。
その道を進んでいると、私は、不思議に自分がどんどん新しくなっているのを感じる。
背負ってた疑問、不可解だった点が、ひとつひとつほどけて取れていくような感覚だ。
そういうとき、私は、紛れもなく生まれる方へと戻っている。
スタートへ、向かっている。