<3573>「所感(179)」

 書くことが何にもなくなってからが本番、スタートだという言葉を反芻する私。

 

 最近は、書くことがなくなるの、その「なくなる」にも種類、段階があるのではないかということを考え始めている。

 

 まず、毎日書いていると、書く内容がなくなる、いわゆるネタがなくなる。

 

 その後、書くために使っていた感傷、空想、妄想の類がなくなってくる。

 

 現実そのものとか、具体物とか、そっちの方へ関心が移っていく。

 

 多分その後は、書く意欲とか興味とかがなくなってくるはずだ。

 

 そうやって様々な「なくなる」を経過して、なお書くこと。

 

 人間が、書くことそのものになっていくこと。

 

 そこに脚色や感想もない世界。

 

 そういう場所に辿り着くことこそが、「スタート」だということなのだろう。

 

 書くことでプロになるというのは、そういうことなのだろう。

 

 何かの目的や気分が付随しているうちはまだまだプロになりきれてはいないのだ。