<3455>「所感(122)」

 俺は成功しているんだ、お前とは違うんだ、と言いながら、実際の動きは、緩やかに自分を滅ぼそうとしているようにしか見えない人と、一緒に仕事をしてきた。

 

 成功しているって、その状態で、何を指して言っているんですか、という言葉は、あまりにも重すぎると思い、飲み込んだまま、その人との関係はもう終わる。

 

 私はしかし一方的な被害者ではなく、その人とは、共犯関係だったと思う。

 

 昨年の11月に、人間として自分との約束を果たし、一丁前になる前までは、私も、その人と同様に、うっすらどこかで、自分を捨てようとして動いていたのだ。

 

 底のところで共鳴し、自分なんてどうでもいいとでもいうような遊びを、その人と繰り返してきた。

 

 自分は渋々ついていっているようなフリをして。

 

 

 私は、その人とだけでなく、自分を捨てるような振舞いとも、別れると決めたのだと思う。

 

 だから、もう一緒にはいられないのだ。

 

 自分を捨てるって、陶酔的に言っているけど、その姿の果ては、これだよと、自分の鏡を見るような、そういう付き合いだったのだと思う。

 

 共犯だ。どう考えても。

 

 

 自分が、そういう関係に別れを告げて、人生を取りに行くと決めたのは、もちろん、地位を上げたいということもあるが、もちろんそれだけではない。

 

 自分を捨てようとし続ける限り、同じように、自分を捨てている人と付き合わざるをえなくなる、ということに気づき、この場所にいてはダメだと思ったのだ。

 

 自分を捨てるという、その現象全てに取り巻くものと完全に別れるため、私は、どうなるか分からない未来を取りに行くのだ。

 

 大きな大きな、一丁前付近の、大きな、暗い、辛いイニシエーションだったと今は思う。

 

 そして同時に、避けては通れないイニシエーションのひとつだったと今は思う。