<3445>「所感(117)」

 全ての行動がちょっとずつ鈍ってて。

 

 何だこれ、と思ってたんだけどあれだ。

 

 普通に嬉しすぎたり、切なかったりで胸が一杯なんだ。

 

 初めての感覚過ぎてしばらく行動が鈍る理由が分からなくて困惑してた。

 

 社会のなかで、ちゃんと人と付き合い、ちゃんと別れることができる初めての時間を今過ごしているという感じ。

 

 そりゃ皆卒業式とかで泣く訳だ。

 

 ようやく人間になれだしてきた。時間かかったなあ。

 

 今までは、本当に胸が一杯になって行動に制限がかかるみたいな状態を、かすかにはあってもちゃんと経験したことがなかったんだなあ、と、こういう気持ちになってみて初めて気づいたというか。

 

 いやあ、私も人間だったんだなあ。

 

 ただの化物だとずっと思っていた。

 

 

 6年前ぐらい。

 

 どうしようもなくなって、ひとり旅をしていたときに気づいてびっくりしたことがある。

 

 自分が沢山お金を持っていて、あまり使わず節約し、ひとりで誰にも頼らずなんとかやっていこうというマインドのときと。

 

 もしなんかあったら私はこの人のためにお金をある程度までは使えるな、という人が何人かいるのを確認しているとき、そして実際にその人たちのことを考えて何か買ったりお金を使ったりしているときとで。

 

 後者の方がお金は減っているにも関わらず、お金の不安がどんどん解消されていったのだ。

 

 前者は、お金も潤沢にあるし、使っていないのに、どんどん金銭的に追い込まれているような気持ちになって、全然自由ではなかった。

 

 お金は関係性のなかにある。

 

 関係性のなかでこそ豊かさを持つ。

 

 自分ひとりで大切に抱え込もうとすると、苦しくなるのだ。

 

 

 貯金は大事だが。

 

 もし自分がピンチになったとき、この人は最低でも一回はメシ奢ってくれるだろうな、助けてくれるだろうな、と思える存在が何人かいるのはもっと大事なことだ。