<3377>「所感(84)」

 仕事をしていると当たり前だけどいろいろな人と付き合う。

 

 特に現代はどんどん複雑になっているから、ひとりの人間に複数の物事が覆いかぶさってくるけど、皆身体はひとつだ。

 

 そうすると、全てが良い状態で働いている人って本当に少ない、もしかしたらいないのかもなって話をきいていたり、姿を見ていたりすると感じる。

 

 厳しいな、人間ていうのは。

 

 かくいう私も、今のコミュニティから抜けることが自分の中で決定した後、コミュニケーションがうまく取れなくなってしまって勝手にひとりで難しくなっている。

 

 ちょっと成熟したな、と思うのは、場所を変えたからといって、仕事内容を変えたからといって、自分の、他人の、人間の厳しさに直面しないで済む、なんてことはないことを学んでいるところで。

 

 今の職場じゃなくなったらただただハッピー、なんてことはないわけで。

 

 地獄の種類が変わるだけであることはもう痛いほどによく分かる。

 

 そうするともう、悲観もしないしそんなに期待もしない。

 

 しかし淡々と、それでも金銭面であったり、自分の成長であったりとか、どうしても今の職場での未来が描けないとか、そういった理由で仕事を移ることを選ぶという、ある意味賭けを。

 

 それが無条件の明るさに繋がる訳ではないけど、ちょっとこっち行ってみな、何も動きませんぜ、という賭けを、淡々としなければならないタイミングが、人生にはあるな。

 

 人生って、本当に厳しい。

 

 生れて来た以上は生きねばならぬと神経をすり減らし血で文章を書いていった漱石の背中をちょっと見つめる。

 

 書くことがあってよかった、とこういうときに思う。

 

 書かなかったら、このざわざわ感って、身体に溜まり込んだままだもの。