<3319>「所感(55)」

 あまり慣れてはいけないんだろうけれど、もうここへ居る時間も長くないんだろうな、と気づいたときの、その周囲全てがあまりにも美しい。

 

 慣れてはいけないというのは、ひとところにとどまる癖がつかなくなるから、ということだが。

 

 ひとところにとどまる癖はそもそもつけた方がいいのか、どうか。

 

 

 本当のことを書く、というときこえはいいが、本当のことを書いていると、それは自分から離れ、質感も違ったものになる。

 

 そうして、これだけ書き続けていると、本当の自分はどこなんだと問われても、そんなものはもうない、あるいは最初からないと応えるよりほかなく。

 

 

 だから私は小さい頃から詩を書き、詩を書き続くのかもしれない。

 

 本当の自分がいないことを確認するため。

 

 本当に近かったことも、どんどん自分から離してしまうため。

 

 

 本当の私はいない。

 

 ただ、過剰な欲望、エネルギー、しつこさだけがある。