<1824>「無声」

 まだ幾月も経っていないのですか、そうですか、

 私はとっくにその時間のなかに紛れて、、

 もう劫を経たのだとばかり思っていましたが、そうですか、、

 まだこの月日のうちですか・・・

 

 私はこんな話からものをひらくのをなんといたしましょう、

 これは親しいからとか、距離が遠い人だから、などということからは、いくらか隔たったことであると思うんです、

 私は、ひとりでどこか遠くの、観光地を歩いていましたが、、

 そうすると、不思議にあなたが添うのです、

 おやこの人は一体、いつの身体を持ち、

 いつの軽さでやってきたのであろうか、、

 私にはそれが分かりませんでしたが、

 私はこんなとき、あなたと身体の話から始めたかった、、

 お互いが含んできたこの重みというものはなんでしょうね、

 なにやなに、大分違うものを含み、、

 もう一緒に渡る、現実を間近にいて渡れるという感じのない、あなたの、

 そして私の重みは、、

 それを明らかにしたところで、お互いに悲しくなることは知れていますね、、

 だから、身体のなかで小さく溜息をつき、

 渦を巻かせて、、

 それは声でなくしてしまいました、、

 あなたは知っていますか、もっと軽やかに、

 声のトオンにしろ、

 身体の出来上がりにしろ、、

 もっと軽くあったのではないですか、、

 しかし、心配事ばかりではないのかもしれません、、

 あなたはこんなところを全く知らないでしょう、

 私が歩いているここのことです、、

 それとも、あなたも両親に連れられて、、

 幼い心にこんなところへ来ましたか?

 あなたは添うていますね、

 あなたは幼稚園などをたまたま通過したとき、

 その異様に小さいことに驚いたことはありませんか?

 あたしはここを取り返しのつかないほど大きな場所だとその当時は考えていたことだろうと思います、

 もちろんその当時に、

 そんな声を持っていた訳のことではないと思いますが、

 あなたはあんまり別々の土地を経過してきたものだから、

 そのひとつひとつの動作のなかに、

 知らない土地の装いが揺らいでいました、、

 そのひとつひとつのリズムのなかに、、

 知らない静まり方が動いていました、、

 

 私のいる場所は、ここは一体何処なのでしょうね、、

 あなたは知っていますか?

 当たり前に添うているのは、

 私の身体に来ただけなのですか?

 あなた夢を見ますか?

 私はひどく感激をしていたのだけれど、、

 それを伝えて回ると、、

 なにか嘘くさく感じるのは何なのでしょうね、

 身体のなかで、声ではなくなるのかしら・・・