あれこれいろんなことは憶えている

 だから、記憶力の衰えに焦っている訳ではない。そうではなくて、過ぎてしまったもの全ての、あれもこれもに重量感が無いから焦って確認したくなっているのだ。

 確かにさっき自分がなしたはずのことが、今や記号になってしまっている。名前のつけられた経験、実物のない・・・。

 石を置く。また次の日も置きに来ると、昨日のひとつがそこに残っている。しかし、昨日それを置きに来た私にはもう、重量感が残っていない。形が無い。記号になってしまった・・・。