平和に我慢ならない

 平和は危機だ。衒いではない。すぐさま危機に転換してしまうから平和なときもうかうかしていられないとか、平和は危機の休息としてあるから、といった理由で、だから平和も大きなくくりで見れば危機だと言うのではない。平和そのものが危機なのだ。

 何故というに、平和には我慢ならない、平和には耐えられないという気持ちが、多かれ少なかれ誰の心にも必ずあるからだ。平和を祈念する運動でさえ、それが集中力を増し、盛り上がってくると、次第に平和的態度とは程遠いものになっていってしまう。

 「本当に、こんなことをやっていて平和だねえ・・・」

という言葉が、軽蔑、嘲りを込めて発せられる。それも、一方では心から平和を願っている、同じ人のその口から・・・。