観劇を終えて

 バスケットのドリブルをイメージしてもらうと分かりやすいだろうか。

「ああ・・・こんなの見せられてしまったら、俺はとてもじゃないけど出来ないぞ・・・」

と、圧倒的な力で地面に叩きつけられ、その反動で、

「いやいや、俺だってこれをやるんだ! 出来るんだ!」

と言わんばかりに、グワーッと上へ跳ね返る。そうして上がりきったところで、バシィッと勢いは手のひらに遮られ、再び、

「無理だ・・・出来っこない・・・出来やしない・・・」

と地面に戻っていく。

 こうして、地面に何度もバシバシ叩きつけられて、しんどいはずなのに、気持ちは上がったり下がったりの熱量で沸騰し、最高潮へと盛り上がる。しかしその間ずっと落ち込んでもいる。

 それにしても、自分の中の葛藤や興奮なんかはさておいて、

「良いなあ・・・俺はこの世界が好きだ・・・」

と、じわりとした気持ちが芯から温みをもたらしてくるこの感じは、何ものにも代えがたい。今日はよく眠れそうで、きっとよく眠れない。