のぺーっとした怪物になりたい

 怪物になりたい。のぺーっとした怪物になりたい。

 良いときの嬉しさ、ダメなときの辛さ、全ての感情に揺さぶられることなく、それをそのままベロリと呑み込んでいく、のぺーっとした怪物になりたい。

 

 小言を言われても気に掛けず、

 怒られはしても気に病まず、

 驚かされても、「ヒャッ」と飛び上がることなく、

 平気な顔してヌルリと進んでいく、のぺーっとした怪物になりたい。

 

 大人物を怖れず、

 小さな子どもに怖がらず、

 どんな人が去ろうが、どんな人が寄ろうが気にしない、のぺーっとした怪物になりたい。

 

 そして、のぺーっとした怪物になって、痛みも苦しみも、愛情も情けも全て忘れて、居間で気ままに眠りたい。