まだ入ってきたばかりの人、様々なことを憶えている最中の人が、いっぺんにいろいろなことを教わったが為に、何か、あるひとつのことを忘れてしまっているということがある。
別に、それ自体は全く何の問題もないことだし、憶え始めたところなのだから、その人はここで怒られる必要もないと思うし、また、私がここで怒るべきでもないと思う。その場で素直に、
「忘れてしまいました。すいません」
と言ってもらえれば、それで済む話である。
しかし、そういった場面で、
「いや、教えてもらってませんし、聞いてもいませんから」
とやられれば、さすがに私もカチンとくる。次からはちゃんと1人で回れるよう、基本的なところは全て教えているのに、自分が忘れたことは棚に上げて、
「そもそも教えてもらっていない」
と片付けられたんじゃあ、こちとらたまらない。
そう思って、少し強めに、
「いや、2人で回ったときに、ちゃんと教えましたよね。一緒に回ったじゃないですか」
と詰めると、その人は、
「教えてもらってない」
の一点張りで頑張るかと思いきや、少しうろたえていた。
察するに、
「教えてもらってない」
と言い張るのは、自身が、大事なことを忘れてしまっているという事実から身を守るためだったのだろう。つまりは虚勢だったのだ。
それなら、少し怒って詰めるのも大人気なかったかなと思うのであった・・・。