私は今まで、
「尽くす」
という言葉が、具体的には一体、どういうような行動を指すのか分からずにいて、今もそれは、ハッキリとは分かっていないのだが、それでも、私が過去、これは、
「尽くす」
だと思ってやっていた行為が、実は、
「媚びる」
であったのではないか、ということに気がつくまでには至るようになった。
「媚びる」
という態度には当然、相手に気に入られるための嘘が含まれていて、また、
「これだけ媚びているんだから、ひとつお願いしますよ」
という見返りを求める気持ちまでもが含まれているが、こと、
「尽くす」
という言葉には、そういった嘘や見返りを求める気持ちは一切含まれていないのだということに気がついたのである。
だから、他人に取り入ろうと思って行動していた私のそれは全て、
「尽くす」
ではなく、
「媚びる」
だったのだ。
「一生懸命相手に尽くせば、相手だって受け入れてくれますよ」
と尊敬する人は言っていた。それに対して私は、
「そんなの嘘じゃねえか!」
と心の中で反発していた。でも違った。私がやっていたのは、
「尽くす」
ことではなく、
「媚びる」
ことだったから、相手が受け入れなくて当然なのだ。
もっと単純に、自分を開いて、流れ出させて、それによって相手も開かせて、相乗でグンと盛り上がり、どんどんどんどん、グァーっと包み込んでいくのが、おそらく、
「尽くす」
なのだ。そうなのか? まだそこらへんはハッキリ分からないが、多分そうだ。それがしっかりと出来たときに、相手にもしっかりと伝わっていくのだろう。