人間には言葉があり、また、その言葉を用いて対話をするという方法があるのだから、怒りを表明するときであっても、感情に任せるのではなく、淡々と何故怒っているのかを告げて、もし何か辞めてほしい事があって怒っているのならば、
「これこれこういうことだから辞めてほしい」
と冷静に伝えれば良いのですが、
「言葉でもって論理を組み立てていくよりも、感情に任せて怒ってしまった方が楽だし、その方が簡単だ」
から、ついつい、冷静に言葉で伝えるという努力を放棄して、論理を組み立てるという過程を省いたりしてしまいます。そしてそれが行き過ぎると、安易にキレて終わらすという怠慢さの方へ流れてしまいます。
では、キレてしまわないようにするにはどうしたら良いのかというのは、実行するのは難しいですが、口で言うのは簡単です。つまりは、
「正確に怒りを言語化する訓練をして、その過程で言語化の癖も身につけ、怒りを言語化することが別に億劫でも何でもなくなる境地にまで至れば良い」
のです。キレは、安易に終わらせたいという所から来ると思っていますから、私の対処法は上記のようになります。怒りを伝えるのは感情によってではなく、言語によってかつ冷静に、という状態を、自分にとっての当たり前にしてしまえば良いのです。
しかし、ひとつ厄介なのが、いくら手前の方でその癖をつけたとしても、
「ああ、これは感情をぶつけてキレるより他に仕方ないな・・・」
とつい思ってしまう人物に出会うことが必ずあるということです。
そういう時の対処法として、まず、どんなに話の通じない相手であったとして、キレてしまいたい衝動に駆られたとしても、絶対にキレないというのは大前提で(参照『「そもそも対話をしたくない」という人を前にしたとき、私が取るべき態度とはどういうものであろうか』)、その上で発想の転換を行うことが必要になってきます。つまり、
「自分が真摯に怒りを訴えれば伝わるはずだ」
という考えを捨てる必要があるということです。いつまでもそのように考えていると、最終的には、
「何でこんなに言っているのに伝わらないんだ!」
とだんだんイライラしてきてしまうのです。ですから、
「相手に伝わるとか伝わらないとかではなく、私は怒りを言語化して表出するという姿勢を曲げない」
という考え方が必要になります。そうすれば、極端に話の通じない人を前にしても、冷静さを失わず、自分の出来ることは最低限やり遂げることが出来、キレてしまうのを防ぐことが出来ます。