最高に贅沢な状況

 これ以上ない、最高に贅沢な状況とは何かを考える。それは、多くの人に納得がいってもらえるような、ということではなく、あくまで私にとっての最高に贅沢な状況だ。

 一瞬、頭の中に思い浮かんだのは、

『豪華な料理に囲まれて、美女を脇に侍らせ、飲みたいだけの酒を飲み・・・』

といったような、いかにもな、分かりやすい贅沢だったが、おそらく本当にその状況にポンっと放りこまれたら、確かに最初は楽しいかもしれないが、情報量の多さの為に段々と疲れてきて、もう、中盤・後半には全く楽しめなくなっているような気がする。

 なので、そういった情報量の多い状況は、私にとって最高に贅沢な状況とは言えない。ならば、情報量が比較的少なく、それでいて最高に贅沢な状況となると、どういったものになるだろうか。

 そんなふうに考えていると、一つの答えに辿り着いた。

『ある暖かい日の夜、どこか外の静かなところで、椅子に腰掛けながら日本酒をちびちびやっている横で、玉置浩二さんに、私だけの為に弾き語りをしてもらう』

これだ。想像するだけでワクワクしてくる。私にとってはこれが最高に贅沢な状況だと思う。

 酒と、玉置浩二さんの歌が揃ってしまったら、それだけで他にはもう、何も要らない。