モデルはおしゃれじゃない

 世間一般では、モデルさんと言うと、「おしゃれ」だというイメージがあるかもしれません。テレビや雑誌などで、服を着こなしながら格好良い・かわいいポーズを決めているモデルさんに憧れて、自分の服装の参考にしたり、真似をしてみたりする人もいることでしょう。

 しかし、私はモデルさんのことを「おしゃれ」だとは思いません。これは私が「おしゃれ」をどのように定義しているのかという問題に関わってくるのですが、つまり「おしゃれ」な人とは、

「流行に乗るとか乗らないとかに関わらず、自分の着たい服を着ていて、なおかつその格好が本人に合っている」

人のことを言うのだと考えているのです。これに当てはめて考えると、モデルさんというのは「おしゃれ」な人ではありません。むしろモデルさんは「おしゃれ」というより、

「プロポーションの良い宣伝マン」

という方がより正確でしょう。モデルさんのように、ファッション業界が決めた流行に従って(この「流行を決める」というのも変な言葉です。急に世間に広がっていったことを「流行」と呼ぶのに、予め「急に世間に広がっていく」ものを決めるというのは、それが可能だとしても、とてもおかしな話です。)、指定された服を着、その服を美しく見せているだけの人は、綺麗かもしれませんが、「おしゃれ」とは程遠いです。

 しかし、どうも世の中では、好きな服を着たいように着て、かつそれが本人に合っている人は「独特」だと評され、モデルさんのような「宣伝マン」の格好を真似することがスタンダードな「おしゃれ」だとされているように感じます。

 そうすると、実は好きな服を着たい人、洒落た格好をしたい人というのはそんなに多くなくて、ただただ世間に、

「流行から外れてる」

であるとか、

「遅れてる、ダサい」

と言われないためだけに、世間の顔色を窺って服を選んでいるだけの人が多いのかもしれません。そして、そんな、世間の顔色を窺って服を着ているような人たちは、モデルさんと同様に、とても「おしゃれ」とは言えないでしょう。流行に気を使い、世間に気を使い、服を選んでいるのはどうみても「野暮」です。「洒落てる」ということからは対極にあります。