「まさか、今死ぬわけない」
と、思っていませんか? そうです、まさに私がそう思っています。
しかし、ほとんどの人間は、寿命を全うせずに、死ぬ予定ではなかったタイミングで死んでいるんだと思うんです。いわゆる、「老衰」のように、身体の各器官の動きがしだいに弱まっていき、寝ている時間が徐々に増えていって、最後は本当に「眠った」かのように死ぬ、というような、見事に綺麗に寿命を全うする形というのは、割合的に言うと少ないと思うんです。
実際のところ、2012年の死亡者総数に占める、「老衰」の割合というのは4.8%です。死亡者を100歳以上に限定してもなお、「老衰」の割合は31.6%にしかなりません。つまり、ほとんどの人が事故や病気、事件によって、綺麗に寿命を全うすることなく死んでいる。
これは、私のような若者にとっても関係の無い話ではありません。確かに、加齢が原因で起こる病気などにはまだまだ縁遠いかもしれませんが、事故や事件などには、明日巻き込まれてもおかしくはないです。
ところで何が言いたいのかというと、誰しも、予想しえない中途の段階で死ぬ可能性があり(しかも今見てきたように、中途で死ぬ可能性は高い)、それが明日になるかもしれないということは、若かろうが何だろうが、しっかり
「遺言を残しておく」
ことが必要なんじゃないかということを言いたい訳です。
「遺言残すったって、財産も何も無いじゃない」
と思われるかもしれませんが、仮に財産が無くとも、「明日死ぬかもしれない」と思ったら、家族や友達に言っておきたいことはいくらかあるでしょう。それは感謝であったり、恨みつらみであったり(笑)、私が死んだら葬式なぞしなくて良いであるとか、この本が一番好きだから棺桶に入れてくれであるとか、その他いろいろです。これらを毎日口頭で伝えるのは面倒だし、何しろ不審がられます。そこで、一つ「遺言」をしたためておくのが非常に有効だと思うのです。
馬鹿馬鹿しいと思うかもしれませんが、それは、自分が突然死ぬ可能性を全く考慮に入れていないからです。残す財産が無くても、「遺言」一つ残っていれば、家族や友達はせめて、そこにすがることができます。
こういう身辺整理みたいなことは、年齢関係なくやっておいた方が良いように思います。また、
「うん、書きたいことは遺言に一通り書いておいたから、今いきなり死んでもとりあえずなんとか処理してくれるだろう。」
という安心みたいなものも「遺言」を書いておけば、得られるかもしれません。
勿論、事故や事件、大病を患うなどのアクシデントが無い限り、原則として、人間は20代やそこらでは死にませんから、一年に一度、日にちを決めて、その日に「遺言」の更新を行うと尚良いと思います。状況は変わりますからね。あるいは、
「財産をある程度持つようになったから、もし死んだらこの人にはこれぐらい、あの人にはこれぐらい残す」
であるとか、
「財産を失ったから、みんなへ残す分は無くなっちゃった、ゴメンネ。」
というように、その時の状況に合わせて、随時変えていくというやり方も良いんじゃないでしょうか。
面倒かもしれませんが、「いつ死ぬかわからない」ということを考えれば、これぐらいのことはたいしたことありません。
ですから若い方も、積極的に「遺言」を書くことをおすすめします。
そして、言ったからにはまず自分が「遺言」をとりあえず、したためてみようと思います。