2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

<493>「待つこと」

これ以外の場所はないのだと思わせる強烈な力も、時間が経つと他の風景に紛れていく。要するに、待つことが大事だ。逆に言えば、待つ習慣を持っていさえすれば、圧倒的な世界にいくら頻繁にぶっつかったとしても大丈夫だということになる。 あれはただ、待つ…

<492>「柔らかな身体は拡大し」

これだけの丈夫さを持つ。何かに耐えるためでもなく、気紛れでもなく、動きいいからこちらにステップを踏むより他に選択肢がなかったのだと思う。イメージほど壊れていなくて、ああして襲われた時間は何だったのかと思わないでもない。 これだけの脆さを持つ…

<491>「離」

最初からズレていりゃあ、そりゃあ同じものになるはずがない。どこからかズレていくのではなく、ズレているものとして現れなければいけないことを考え合わせてみると、一旦ボーっとしてみよう。そうして初めて、この静けさと一体になることが出来たのを感じ…

<490>「現と回転」

昨日聞いた不可能ででもあるように、内緒を背負って、現在地を交換する毎日の、その回転であらせてくれ。 聞いたことのない名、呼ぶ声。特にその、吐き出される眩暈は、いつかの煙となり、存在を隠して、なかったことにしてしまう。 最初と終わりは一緒です…

<489>「ものから離れて」

明らかな固定の時間と、それを忘れる時間の、この距離を見せられて、意識はかなり離れた、高い場所を取らざるを得ない。それは偉いからだとか、中心だからだとかではなく、そのぐらいのポジションにあるのでなければ、意識が意識として機能するのが不可能だ…

<488>「おそれに潜る」

あるがままの驚異にさらされていればいいじゃないか。あるがままのその怖ろしさを、避けずにそこで受け止めていたらいいのじゃないか。この不親切な、感情に似合わない流れは、てんで私などを襲うつもりもない。 遠近感を失うこの暗い夜に、その他季節を連れ…

<487>「私を待っている」

ふたつのものが何かを待っている。それは、信号でも良い。ぼんやりと、視線のなかで徐々に音が少なくなっていく。ひとつの切り替えを渡し、案内されるがまま、歩行に足るものとなればいい・・・。 警戒する、それには少し、華やかさが、騒音が、後悔の程度が…

<486>「さわがしさとの断絶」

なんでもないような状態、平穏な状態というものの有難みが、もう少し確かな実感としてやってくるといいのだけど、という願いは別に正当なものであろうし、そんなに変な呟きだとも思われないが、しかし、なんでもないような状態は、なんでもないような状態と…

<485>「想定と現場と」

投げかけるとき、投げかける先のことを、曖昧にでもとりあえず想定しているものだが、想定したものと、対象の実情とでは、あまりにも違いが大き過ぎるので、申し訳程度に当惑してしまうというか、あらかじめ想定しておいたものは何だったのだろうかという気…

<484>「生まれまた生まれ」

剥がしてはまた剥がし、生まれては生まれ、生まれることにためらいがないのを見て感心するでなし笑うでなし、どうもこの度は動きが良くなったと思いませんかウームどうでしょう確かにそう言われれば動くようにもなったと思いますが、こっちで動きやすかった…

<483>「本当とは関係のない場所で」

これだけ用意されていても、全て嘘だから、一切反応しないでいると思う。ただ、反応しないことによって、身という身が硬くなっていくのだが、実はそれも嘘だから、さて私はどうしたらいいだろう、というのも、最初からどちらに動こうが嘘になるように仕組ま…

<482>「覚知」

今、私には、あなたの放心が解るのかもしれない。曖昧な視線の行き先が、来し方が、ここに開いて、すると私のなかに、同じリズムが鋭く光る。 今、私には、あなたの停滞の意味が解るのかもしれない。何故かは知らないが、随分と動き回ってしまった。細かな震…

<481>「小さな名前で呼ばれて」

小さな声で、しかしぶつぶつぶつと、目覚めさせ続けるのだが何だ。そんな静かな攻撃もないだろうに。別に呆れるというほどのこともないが、それではこちらも少しばかり動き回らせてもらうぞ、というものだ。馬鹿ならばそれなりの景色と盛り上がりに対して、…

<480>「あるのだから」

分かってもらうって、一体何を? そんな具体的なもの、内容としてしっかりしたものがあるとは思えず、何だか訳の分からない淀みだけが、しかも全体として現れるのでもなくただ漂っているだけのように思われるから、これを、分かってもらったという場合、それ…

<479>「形から溶けて」

しっかりと応えられないことが分かるのだから、振り返らない景色が日に日にここで親しくなる。空間が、知らない地点と定めたその瞬間から、雰囲気は徐々に徐々にひとりへと変化する。 誰の、それは、誰の挨拶であるか。きっとそれは、向こうでくたばるほかな…

<478>「ただまだからだだから」

それ以上は不分明だから、よすが良いじゃないか、と、誰に言っているんだ? 人の反応を、範囲を、一体何だと思っている? まあ、疑うに越したことはないなどと一口言ってみているが、どのように疑っているのだろうか皆目見当もつかないので、ひとつひとつに…

<477>「空洞の、響きに沿う」

まだまだ景色を教えたいと、曖昧な空気が言うのでしょう。どうしてだろうか、私はとても眠い。これは、歓迎だとか、拒否だとかに関わらないことだと思えるのですが、いやはや、静かな移動の距離だけを、見せてください。 大きな空洞には、否定のニュアンスが…

<476>「温度へ向かい回転する」

普通の温度に、どれくらいの扱いにくさを感じてきたのだろう。明確に上がったり、下がったりすれば、態度の取り方のひとつやふたつ、私にも用意出来たのだけれど、といった顔が並ぶ通り。 もう少し、売ってくれませんか? とんでもないこと、言うもんじゃな…

<475>「無意味な朝を読む」

少し前を急ぎ、なだらかな坂より染みて、さらに、さらに。ひとつの無警戒、ひとつの無関心が、緊張を見ててさらに、さらに。まだ、残った風景を回収するには足りないから、まさに、ここが、挨拶でも並走でもない場所だったんだ。 何故なら、僕を見る。そうし…

<474>「緩慢に」

おそらくはただ、ここで悲鳴と聞こえているに違いないが、影響を受けるのがこちらであるとして、そのメッセージを投げかけた当の者は、何がしかの苦痛を背負っているのだろうか。それは、勿論そうであろう。大体が、悲鳴を発する者と受け取るこちらは、地続…

<473>「止んだ空間へ」

暗い穴が、時間を探してこの勢いにむしゃぶりつき、知られたくない表情が、感じたくない奔流が、次々に場面を展開していく。ああそうか、感情だ。完全な顔を崩さないために、呼吸は、固く、浅くなっていく。 踊り、くねり上がればいいのだ。 踊り、くねり上…

<472>「呼吸がにやにやする」

出口は様々に拡がっているが、それらを部分的に(しかし幅広い範囲に亘って)固めていく。何故かは分からないが、固く埋められた部分は、その固さ自体もさらに増していくように出来ているらしい。そうか、すると、徐々に動きが制限されていくということだが…

<471>「地面につく」

ひどくぼんやりしたがって、その場に釘づけにされているように見えるが、何かが去るのを待っていたり、また、何かに耐えているのでないことは分かる。鈍重な動きを申し渡されたように、その場で深く沈みこんでいる。尤も、それは不本意ではあるのだが、動作…

<470>「断続、はつ」

これが、今ここで示される景色なら、叫びたい分だけをきっちりと叫ぶがいい。順次ズレていくことで起きる運動は、あなたを忘れない。 ならば、この部屋で、あなたがもう一度、警戒そのものになるのだ。見ているもののことばかりを、徒に考えなくたっていい。…

<469>「ただの脈つき」

嘘は嘘として、本当は本当として、この、動いていないとしか思えないもの、静かに沈黙しているとしか思えないものの、大きな震動を、ひとつの手に余るほどに感じていたい。大がかりな鳴き声は、大袈裟な動きそのものは、執拗な前進は、確かめる術もない。た…

<468>「朝の暗さ」

毎日変わらずのその照明が、その動きの数だけ人の不信を集めるのだったら、私は、ホウっとしてそのまま見ていることにしよう。幸い、私の方であなたの方で、見慣れた暗さを相手にしようというつもりはなかったようで、そこで安心しているのなら、そのままこ…

<467>「泥のなかの静けさ」

次々と、泥にはねられて行く人々よ。私はあの歩みを見ている。特別な感慨が必要になった訳ではないのだが、時間の積み重ねが、ただの穴になるように、慎重に見ている。 ただ歩むこと。そこに、感激も切なさもないこと。ぼんやり眺めていると、次の瞬間には、…

<466>「善悪ではない」

大して悪くもないが、当然良くもないという状態に置かれる。置かれるというより、そういうものが存在だと確認することは難しいことなのだろうか。いや、それ自体は別に難しいことでも何でもない。そんなに良くもないが悪くもない、そんなもんだということは…